2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧

松本清張『黒革の手帳(上巻)』

ずうっと、ドラマを見た人から奨められていて、文庫もかりてきていたのだけれど、松本清張の『黒革の手帳』をようやく読み始めた、と思ったら、ぐいぐい読まされました。やっぱり、通勤時とかは、こういう本を読むべきだよねー。でもって、ベタですけれど、…

大澤真幸『美はなぜ乱調にあるのか』

大澤真幸『美はなぜ乱調にあるのか 社会学的考察』を読んだのですが、もともと、初出を他大まで行って揃えたけどよくわかんなかった「〈精神=身体〉のパースペクティヴ」リベンジが目的だったのだけれど、読み終えてみたら、「イチローの三振する技術」が圧…

太宰治「パンドラの匣」

一時期よく読んでいて、今回久し振りに読んだ太宰治「パンドラの匣」ですが、いやとにかく「明るい」! ということに、はじめてといってもいいような衝撃で気づきました。現実的な事情なんかを考慮に入れると、ほとんど破れかぶれとしか思えない明るさなので…

井上清『新版 日本女性史』

上野千鶴子さんの新刊ビブリオで知った、井上清『新版 日本女性史』を、刊行が1948ということで気になり、読む。奈良朝より前からの通史的叙述で、目次だけでおなかいっぱい。カンジンの戦後のあたりは分量も少なく、なんとなく、公立高校の歴史の授業み…

磯田光一『戦後史の空間』

新潮文庫になって、amazonでやけに高額になっている『戦後史の空間』(新潮選書)を、先日地元の古書フロアで100円でGET。チャプターごとのコピーは自宅のどこかに眠っているはずですが… 一気に読んで、ちょっと磯田光一さんのこと、見直しました、ってい…

桶谷秀昭『保田與重郎』

やはり僕にとっては「謎」であり続ける保田與重郎について、講談社文芸文庫で桶谷秀昭『保田與重郎』を読む。桶谷さんてなんとなくぱっとした印象に欠ける所があったのだけれど、この仕事、内容と、その時期的な早さを考え合わせると、すごい勢いで「地なら…

小林恭二『本朝聊斎志異』

書評の切り抜きをずっともっていたのだけれど、厚いしな、と思ってずうっとやり過ごしてきたのですが、ついに小林恭二『本朝聊斎志異』読みました。そして、長い必要があるわけも、とてもよく分かりました。これはやっぱり、連作して、こういう無駄なくらい…

Survellance society:Monitoring everyday life

遅くなってしまったけれど、デイヴィッド・ライアンの『監視社会』を読みました。と、今ATOKうったら、「監視者会」と出て、なかなか洒落にならない。ま、もう逃れようがないのだけれど、身体が消失した地点でどのような網が張られているかよくわかる、…

文章=商品のハウツー

諸事情あって、誠実にも永江朗氏の『〈不良〉のための文章術 書いてお金を稼ぐには』を拝読。なんというか、タイトルとサブタイトルにいいつくされており、何か言う気にはなれませんが、徹底した姿勢それ自体は見事だし、自意識/職業の線引きをキッチリして…

中村三春『係争中の主体』

中村三春さんの新刊『係争中の主体 漱石・太宰・賢治』を読み終える。論文集なので、初めて読んだものから何度も読んだものまで色々あるのだけれど、2重の意味で引き裂かれました。1つは、「係争中の主体」を冒頭に置き、タイトルにも冠しながら、徹底して…

永江朗『ベストセラーだけが本である』

ベストセラー研究家(?)として、永江朗『ベストセラーだけが本である』を、ついAmazonで買ってしまい、どうせ1回しか読まないだろうなぁ、と思いつつ、昨夏から習慣になったプール上がりの読書(辻仁成!)でさらっと読み終える。どうしてもベストセラー…

西尾維新『きみとぼくの壊れた世界』

『きみとぼくの壊れた世界』が初西尾維新だったわけですが、予想以上に楽しめました。衒学的な長ゼリフも心地好く、モノガタリナイヨウというよりは文体がとにかくポップだという印象を受けました。個人的には何といっても、病院坂黒猫のキャラクターが好き…

蓮実重彦『知性のために』

言わずと知れた(?)、総長時代の講演集である蓮実重彦『知性のために 新しい思考とそのかたち』を読み、大いに啓発される。驚くこと、好奇心を持ち続けること、そして変化すること。蓄積できない、きらめく知性を磨きたいものです。 知性とは、何が自分に…

上野千鶴子新刊

論文集なのですが、「フェミニズムとは、世界の悲惨を「生き延びる」思想であったことを、改めて確認する」(はじめに)という立場からの『生き延びるための思想 ジェンダー平等の罠』読了。元の講演を聴いたものもあって、その時の上野千鶴子のシャープな印…

「歴史哲学テーゼ」

ベンヤミンの「歴史哲学テーゼ」を、今村仁司『ベンヤミン「歴史哲学テーゼ」精読』で読む。(岩波現代文庫は、本当に頑張ってる。多木浩二とか、ガンガン出してほしい)何度めかなのだけれど、折ってあるところが何で折ってあるのかわかんなかったり、逆に…

『斜陽』サーガ

何でもかんでも「サーガ」とか呼ぶのって、貧しいとはわかっているけれど、やっぱり呼んでみたくなっちゃいました。何がかというと、太宰治「おさん」です。戦後短編の鍵は、ここにあるかも? と思わせる小説です。ちなみに、「ヴィヨンの妻」や「トカトント…

フランス革命

岩波セミナーブックスによる、柴田三千雄『フランス革命』を通読。出だしが、何とも今日的、というか、成田龍一的(?)でい、スムースに読み出すことが出来ました。本当に、時間さえあれば、読み物をはじめとして、多くの関連文献を読みたいものです。

島本理生『リトル・バイ・リトル』

ハードカバーでもってるはずですけど、 結局、文庫でも島本理生『リトル・バイ・リトル』を買った、読んだ。このみからいえば、『ナラタージュ』はちょっとどうだろう、って感じだったけど、『シルエット』が1番好きで、でもそこまでではないので、他のと同…

多木浩二に辿り着く

というわけで、ようやく多木浩二です。岩波現代文庫に収められた『「もの」の詩学』を読みました。初版をもっているという方には何だか申し訳ないですが、文庫で読めるのはとても嬉しいです。とはいえ、僕にしても『比喩としての世界』とか文庫になったら悲…

メフィスト賞学園ミステリーⅢ

辻村深月『冷たい校舎の時は止まる』(下)、そして読了。まずもって驚くべきことは(彼女に限らないのだろうけれど)その構想のスケールと、それを満たしてあまりある想像力です。おそらく、本作の場合は、オドロキの展開と言うよりは「あるある」感がミス…

メフィスト賞学園ミステリーⅡ

順調に辻村深月『冷たい校舎の時は止まる』(中)へ。いよいよ、状況と謎が明らかに成りつつ、それぞれの人物からトラウマ物語が浮かび上がってきます、。あと、時間処理というか、構成というのか、現在の展開にこれでもかこれでもかと織り込まれる過去のエ…

守中高明『法』

守中高明『法』を、かなりリアルに読む。1000円だったらいうことのないのにな〜という充実のシリーズ、岩波書店の「思考のフロンティア」の1冊。法学者がこの本を書いたら、多分、買わなかったでしょう。基本的な思考の軸にデリダを据え、現実的な余りに現…

メフィスト賞学園ミステリーⅠ

この年になると、それ自体さほどめずらしくないのだけれど、数人の人を挟むとつながってしまうメフィスト賞作家の辻村深月さんのデビュー作、『冷たい校舎の時は止まる』(上)ついに読み始めました。いや、まず単純に読ませます。にしても、こういう分量を…

『海燕』作家・松村栄子

本当は、どこかにひとまとめにしてある大澤真幸の本を探していたのだけれど、副産物?のようにして、探そうとすら思えなかった、松村栄子の「僕はかぐや姫」に巡り会う。どうしても、綿矢りさとか藤野千夜なんかと比べてしまうし、感性的には文学趣味が強く…

坂口安吾『堕落論』

角川文庫の坂口安吾『堕落論』、これって、なかなか読み通せないのだけれど、今回は時間があるに手持ちの本がこれしかないという状況のせいもあって読み通す。「日本文化私観」ももちろんいいのですが、何より「青春論」がお気に召しました。文章が、短くて…

アメリカの夜

阿部和重の小説、『アメリカの夜』を文庫で読む。Sホールは、シードホールでいいのかしら? となると、私にとっては、切っても切れない縁、というか、「東京で始めて演劇をみた場所」で、それだけでも親近感わくし、寺山修司映画への無駄に暴力的な言及とか…

ソニア・リキエル『祝祭』

アマゾンというのは、実に便利です。『モードの帝国』で参照されていた、ソニア・リキエルSONIA RIKIELの著書である『祝祭』を、ずいぶん安い値段でGET(というか、1000円したら買わなかっただろうし……) 山田登世子の本を読んだ後だからかも知れないけれ…

データベースとセカイ系

東浩紀さんの『動物化するポストモダン』ですが、他のところで、身体論の文脈でふれられていたので、確認の意味で再読。この間に、村上隆のことを遅ればせながら知ったので、そのあたりが1番面白かったです。そして、関連して、やはり(というべきか)『エ…